シリーズ・機能不全家庭
今日は⑥「小学生・夜の街を知る」を、お届けします。
私の父は、都会のネオン街でスナックを営んでいた。
夜はお店で仕事をし、朝になると愛人宅へ帰る。
私が子供のときは携帯がなかったから、父とコンタクトを取るには、お店に電話するか、お店に行くしかなかった。
1ヶ月分の生活費がなくなるころ、母にこう言われた。
「お父さんに連絡して取りに行ってきて」
私は毎月父に電話をして、お店までお金を取りに行っていた。
父と会うのは、いつも夜の7〜8時くらいだった。
小学生の私には、ネオン街は恐怖だった。
ド派手なキャバ嬢、
お色気ムンムンな外国人女性、
スーツ姿の怖そうなおじさん、
怪しい客引き、
酔っぱらい、
すれ違う人みんなが、私のことをジロジロ見てくる。
小学生がネオン街を歩くと、かなり目立ってしまうのだ。
父から一万円札の束を受け取り、ポケットにしまう。
変な大人にからまれたらどうしよう。
落とさないように気をつけなきゃ。
ドキドキしながら、小走りでネオン街を後にした。
子供にとっては、かなりプレッシャーのかかるお手伝いだったし、やりたくなかった。
もう一つ、夜の街でのお話。
アル中の母はしょっちゅう飲み歩き、朝帰りが当たり前になっていた。
夜は私と兄、2人だけで留守番をしていたから、寝るときはいつも寂しかった。
”夜は母と一緒にいたい“
その気持ちが強くなり、母が飲み屋に行くときに、「私も一緒に行く!!」と、母の後を追って付いて行くようになった。
飲み屋のママは優しくて、私が同行しても嫌な顔をしなかった。
私はカウンターの隅に座り、ジュースを飲みながら大人たちを観察していた。
はじめはみんな陽気にお酒を楽しんでいるのだが、酔いが回ると、同じ話を繰り返したり口論が始まったり…。
「大人ってバカなんだな」と、冷めた目で観察し続けた。
さらに酔いが回ると、、、
20代後半くらいのカップルが、イチャイチャしはじめた。
みんなの目につくカウンター席だが、お構い無しにイチャイチャしていた。
指を絡めて手をつなぎ、体を撫でたり抱擁したり、、、
そして、キス、キス、キス。
離れられない様子だった。
初めて目の前でキスシーンを見た。
生々しくて衝撃的だったけど、女性が可愛いお姉さんだったから、絵になっていた。
少女マンガを見ているような感覚だった。
夜10時を過ぎると、飲み屋のママは「子供がかわいそうよ。そろそろ帰りなさいよ」と母を説得し、帰宅を促してくれた。
母は「じゃあ帰るわ」と席を立ち、私を連れて駅に向かった。
母と一緒に帰れば今夜は一緒に寝られる。
私は安堵感でニコニコしていた。
電車がホームに入ってきた。
母は「先に帰ってなさい。お母さん、まだ飲みたいのよ」と言い、私を電車に乗せた。
私はとても悲しくて、泣きそうになった。
電車のドアが閉まり、母はまた飲み屋へ行ってしまった。
私は、母に捨てられたような気分を味わった。
駅に着き、構内を一人で歩いた。
夜遅くに女児が一人で歩くなんて、異様な光景だった。
自分でも、「これは非常識だよな」と感じていたし、周りの大人たちの視線が痛かった。
当たり前だけど、夜の街には子供がいない。
仕事を終えて帰る人、
飲んで酔ってる人、
デート中のカップル、
大人たちの夜の表情は独特だった。
疲れてる顔
緩んでる顔、
ギラギラした顔、
寂しそうな顔、、、、
夜の駅構内は、大人の時間なんだな。
子供は場違いだな。
ここに居てはいけないと感じた。
40代くらいのおばさんが一人で歩いていた。
私は、さり気なくおばさんに近付き、歩幅を合わせた。
近くを歩いていれば、親子っぽく見えるかな…。
一人で歩くのが怖くて、女性を探しながら家まで歩いた。
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はい、思い出話はここまで。
私の子供時代と言えばネオン街。
社会科見学と言えば夜の街。
子供のときから、大人や社会のことを冷めた目で見ていたかも。
観察というか、情報収集する癖がある。
で、
「世の中こんなもんか」「大人ってこんなもんか」と、いろいろ諦めていくw
「夜、親が家にいない」
これはめちゃめちゃ寂しかったな〜。
仕事でいないとかじゃなくて、飲みに行って、いつ帰ってくるか全くわからない状態だったからね。
夜はホントに辛かった。
今は、夫や子供たちとワイワイ楽しく過ごせるから幸せ。
結婚できてよかったな〜。
家族のありがたみを、ひしひしと感じております。
では、今日はこのへんで。
またね🌟