シリーズ・機能不全家庭
今日は④「”家庭の味“がわからない」を、お届けします。
私の母は、家事育児を放棄して、夜遊びを繰り返していた。
数日間家に帰らないこともあった。
私と兄は、自分たちで食事を用意しなければならなかった。
幼稚園〜小学生のときは、家にあるカップラーメンや、お茶漬けなどの簡単なものを作って食べていた。
食べ物はないかな?と、台所をウロウロしても、何もない。
コンロに放置された鍋を開けてみると、腐敗して悪臭を放つ味噌汁が…。
炊飯器には、青カビだらけの冷えたごはんが入っていた。
小学生のとき、母が5日間帰って来なかったときは、寂しさが限界に達した。
親友の由紀子ちゃんに、「うちのお母さん、ずっと家にいないの」と、泣きながら相談した。
由紀子ちゃんは、私の頭を撫でながら、「今日、うちで晩御飯食べる?」と、誘ってくれた。
由紀子ちゃんのお母さんはびっくりしていたが、私の家庭が“訳あり”なことを察してくれて、晩御飯を用意してくれた。
しそごはん、お味噌汁、アジの干物、お浸し、野菜の煮物。
由紀子ちゃんのお父さんが食べる分を、私のために出してくれた。
このときのご飯の味は、今でも鮮明に覚えている。
愛がいっぱい詰まっていて、お腹も心も満たされた。
幼稚園の親子遠足では、私の親だけ不参加だった。
私の面倒は、先生がみてくれた。
お弁当の時間は、友達の家のレジャーシートに座らせてもらい、一緒に食べた。
私のお弁当は、最悪だった。
敷き詰められた白米の上に、四角い海苔が2枚。
おかずは一つもない。
ただの、海苔ごはん。
それを見た友達のお母さんが、気を遣って「うちの唐揚げ食べて!」と、おかずが入った容器を差し出してくれた。
私は申し訳ない気持ちでいっぱいになり、
「あ!ごはんの下に、おかず入ってたよ!大丈夫だよ!」と、笑顔でウソをついた。
そして、お弁当箱の中身を隠して、おかずがあるフリをしながら食べた。
小学校の遠足も、最悪なお弁当だった。
湯煎で食べられる市販のおでん。
それが、透明のタッパーに汁ごと流し込まれている。
白米はなく、おでんと汁だけ。
友達は、可愛いキャラクターのお弁当箱を持っている。
プチトマトや卵焼き、ウィンナーが入っていて、とてもカラフル。
私のお弁当箱は、透明のダサいタッパー。中身は茶色い汁だらけ。
本当に惨めだった。
高学年になると、お弁当を作ってもらえなくなった。
小6のときのこと。
宿泊学習に出発する日の朝、母は家にいなかった。
前日から飲み歩いて、どこかで酔い潰れていたのだろう。
お弁当が必要だから、自分で作るしかない。
未開封の梅干しがあったから、容器を開けようとした。
プラスチックの接着面がなかなか開かないから、包丁で剥がそうとした。
そのとき、手の指2本を、ザクッと思いっきり切ってしまった。
血がポタポタ流れ出して、激痛が走った。
傷口をタオルで押さえたり、絆創膏を何枚も重ねたりして、なんとか出血を止めた。
痛みに耐えながら、梅干しおにぎりを2個つくり、お弁当箱に詰めた。
ケガの処置に時間がかかったし、冷蔵庫の中は空っぽだから、おかずは作れない。
アルミホイルをふんわり丸めて、お弁当箱の隙間に入れた。
ホイルの中は空っぽだけど、おかずが入っているかのように見せかけたのだ。
楽しいはずの宿泊学習は、スタートから最悪だった。
見送ってくれる家族はいないし、指はズキズキ痛いし、お弁当は惨めだし…。
友達はみんな笑顔で、美味しそうにお弁当を食べている。
みんなのお弁当は、どんな味なんだろう。
家庭の味ってなに?
私には、わからなかった。
__________________
はい、思い出話はここまで〜。
私は食べることに関して苦労してきたから、普通に食べられるだけで、めちゃめちゃ幸せなの。
家庭での食事も、夢みたいに幸せ。
食事って、当たり前じゃないのよね。
ホカホカのごはん、
あたたかい味噌汁、
それだけでも、すっっっごく幸せ。
子どもたちには、「家庭の味」を経験させてあげたいな。
料理は下手だけど、“ピントのズレた味がおふくろの味”ってことにしてもらおうw
お弁当も簡単なものしか作れないけど、おにぎりを握るときは、たくさん愛をこめて握るんだ🍙
では、今日はこのへんで。
またね🌟