シリーズ・機能不全家庭
今日は⑫「やりたくなかった結婚式」を、お届けします。
私は、結婚式をやりたくなかった。
問題だらけの父、母、兄が式に参加するなんて、想像しただけでゾッとする。
特に母は危険人物だ。
結婚式には来てほしくなかった。
しかし、
夫と義両親は「結婚式を挙げたい」と希望したから、私はその意見に従った。
ウェディングプランナーさんから「”両親への手紙“はどうしますか?」と聞かれた。
「両親への手紙」は、みんなが感動し涙する最大の見せ場だが、私はきっぱり断った。
「両親への手紙はやりたくないです」
夫も「手紙は恥ずかしいから省略したい」と言ってくれた。
プランナーさんの提案で、花束贈呈だけ行うことになった。
結婚式当日。
私と夫は少し早めに式場に着いた。
フロントのスタッフが「お母様が既に到着されています」と言い、母を呼びに行った。
母は、私たちより2時間も前に到着していた。
「娘は大丈夫かしら」「ちゃんとできるのかしら」と、かなり心配していたらしい。
スタッフのみなさんは母への対応に苦慮したようで、笑顔が引きつっていた。
母はいつもの非常識ぶりを発揮して、スタッフに相当迷惑をかけたようだ。
スタッフに連れられて母がやって来た。
「あんた、大丈夫なの?」と、半泣き状態でオロオロしている。
みんなが笑顔で祝福してくれるおめでたい日なのに、母だけは暗い表情だった。
普通の母親だったら、「おめでとう」と、ニコニコ明るく接してくれるのに…。
うちの親は、なんでいつもズレているんだろう。
母の服装を見て、「あ〜あ、やっぱりな」と、がっかりした。
タンスの奥から引っ張り出してきたような、色褪せた古い着物を着ていた。
黒留袖だけど、地味すぎてお葬式みたいだった。
髪は全くセットしていなかった。
白髪まじりのパサついた髪がだらしなく見える。
化粧はファンデーションを薄く塗っただけ。
なぜこんなみっともない化粧をしたのか理解できなかった。
親戚からも、「母親らしさがない。この格好、この髪型、なんとかならないの?」と指摘されていた。
これだから結婚式なんかやりたくなかったんだよ…。
私は「今日一日が早く終わりますように」と祈り、ブルーな気分でウェディングドレスに着替えた。
披露宴はアルコール飲み放題だが、アル中の母には飲ませられない。
酔っ払って周りに迷惑をかけたら大変だ。
父に「お母さんにお酒を飲ませないで」と頼んでおいたから、母は乾杯のシャンパン1杯しか飲まなかった。
私は、披露宴の最中も母の様子をチラチラ監視していた。
酔っ払ってないかな?
非常識なことやってないかな?
母のことが気になって、披露宴を心から楽しむことができなかった。
義母の黒留袖はキラキラしてとても華やかだった。
髪も美容院できれいにセットし、化粧もバッチリ。
結婚式に参列する母親って、やっぱりこうだよな…。
母と義母を見比べると、やはり母の格好はおかしかった。
見た目だけではない。
義母は披露宴の最中に各テーブルを周り、列席者に挨拶をし、空いたグラスにお酌していた。
気の利いた対応を心掛けていて、さすがだな〜と思った。
こういうところで、家柄の違いがはっきり出てしまう。
私にとって、両家が集まるこの場は苦痛でしかなかった。
こんな悲しい思いをするのは今日が最後。
今日が終わってくれれば、、、。
機能不全家庭のメンバー(父、母、兄)と同じ空間に居ると、それだけで心身のバランスが崩れていく。
幼少期から引きずってきた心の痛みもぶり返し、動悸や吐き気に襲われた。
そんな心の痛みを押し殺しながら、どうにかこうにか“幸せいっぱいの花嫁”を演じきった。
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はい、思い出話はここまで。
これは結婚式の写真だよ↓
頑張って幸せな花嫁を演じてましたw
こうして振り返ってみると、しみじみ思う。
「人生って演技なんだな」と。
私は、生まれてからずっと演技をしている。
明日も何が起きるかわからないけど、用意された舞台で熱演するわ。
大女優だから、どんな役でもこなしますw
では、今日はこのへんで。
またね🌟